本書での紹介ページ
第1章プロジェクションマッピングの概要
SECTION-01 プロジェクションマッピングの概要
□プロジェクションマッピングの歴史
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プロジェクションマッピングの歴史は、まだまだ整理されていませんが、
本書の中で、プロジェクションマッピングという言葉が使われる前の作品をいくつか紹介しています。
ちなみに、国内でプロジェクションマッピングという言葉が一般に広がった時期は、
東京駅の「TOKYO STATION VISION」が開催された2012年を日本における「プロジェクションマッピング元年」としています。
つまり、それ以前に、私が興味深く見て、知っていた作品と作家を紹介します。
・クシュシトフ・ウディチコ Krzysztof Wodiczko(リンクはウィキペディア英語版へ)
ポーランド生まれのアーティストです。
「パブリック・プロジェクション」シリーズという作品が有名で、
象徴的な建物、例えば、凱旋門や記念碑などにイメージを投影します。
私が確認できた限りでは、80年代からスライドプロジェクターを使って制作をしています。
建物とイメージの関係性が、とても政治的で権力への批判のように受け取れます。
国内では、原爆ドームの前にある川の岸壁へ手を投影する作品があります。
現在のように、デジタルのプロジェクターが容易に使うことができなかった時代から
制作されていた作品です。そして、当時は、静止画であることも考えると、
さまざまな工夫がされていることと同時に原理的で原点のように思えて仕方ありません。
さらに、ヘッドマウントディスプレイのような装置を使い、
カメラが顔を撮影し、その映像を建物へ投影するような参加型やパフォーマンスといえる作品も制作しており、
前衛的な方法も注目すべきです。
彼の活動と作品は、建物と映像の関係性そしてその意味を考える上で、
とても興味深いと言えます。